本当の相続対策とは?

相続税を下げるには「評価額を減らす」か「相続人を増やす」しかありません。
巷の相続ビジネスは、この「評価額を減らす」ための自社商品のセールスが主です。

先日も賃貸マンション建設の提案を受けた方が相談に来られました。
提案書にデカデカと「相続税の概算節税額!」が書かれており、確かにその賃貸マンションを建てれば〇億円の相続税は節税できます。
しかし、もう一歩先を考えるべき、ということをアドバイスしました。

本当の相続対策は「価値ある資産を次世代に承継させること」です。
一次的な節税ができても、将来の収益性(フロー)を無視したものや資産価値が目減りするものではまったく意味がありません。

提案書の内容はかなり楽観的です。
〇 10年先や15年先の大規模修繕のことは無視。
〇 将来売るときは賃貸割合(収益力)に基づいて価格が決まることを聞いていない。
〇 表面利回りのアピールのみ。利回りが高い=投資リスクが高いということを聞いていない。
〇 そもそも承継者を決定していない。

売り手は「売って終わり」ですが、買い手は「買って終わり」ではありません。
営業マンへの一時の感情で、売れない不動産と借金を背負う可能性があることを決して忘れてはいけません。

もし本当に顧客の幸せを思う営業マンであれば、節税ありきの提案書を出す前に、
・相続の後、誰がその物件を相続し管理するのか?
・借金は誰が相続するのか(できるのか)?
・他の相続人への手当ては出来ているのか?
・奥様の生活資金は十分に確保できているのか?
これらの課題を一緒に考えてくれるはずではないでしょうか。

全ての賃貸マンションが悪いわけではありませんが、やはり第三者の意見がリスク回避には絶対に必要です。
営業マンが言わない真実、提案書に小さく書いている注意事項。そこが重要です。
客観的で中立的な目を持つ 不動産鑑定士 や 税理士 にぜひご相談ください。