築50年以上、耐震補強工事には「検査済証」を!

A社の本社ビルは築50年以上。建物が老朽化している上、1981年の建築基準法改正で導入された「新耐震基準」によって規定された耐震性能が不足していることは明らかでした。
しかし耐震補強工事をするには、「検査済証」の有無が重要です。「検査済証」とは建物完成後の完了検査を経て交付されるもので、建築法規に照らし、建物の適法性を証明する書類です。「検査済証」がないと、大規模改修や増改築、用途変更など、確認申請が必要な工事ができず、改修内容が極めて限定されます。また確認申請が不要な補強工事はできますが、助成金の交付や性能認定にも「検査済証」が必要な場合があります。
A社もまた「検査済証」がなく、そのため当初は耐震改修の助成対象外でした。

行政からの「お墨付き」で資産価値も向上!

そこで当社では、耐震診断に加え、非破壊検査等により構造調査書を作成し、第三者機関による評定を経て、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(耐震改修促進法)による認可工事として、耐震改修を実施しました。これはまわりくどい方法にも見えますが、法的認可を受けたことで、耐震助成金の交付を受けることができました。また行政から耐震化済み建物として「お墨付き」を取得したため、資産価値の向上にもつながりました。

まずは耐震診断。助成制度の活用で負担減!

中小企業やオーナー企業の場合、引き継いだ建物が老朽化していることが多く、耐震不足は早急な対策が必要。まずは耐震診断を受けることをおすすめします。
耐震診断や耐震改修、建て替え等については、様々な助成制度が用意されています。制度内容は自治体ごとに異なりますが、うまく活用すれば所有企業の負担を減らしながら耐震化を進めることができます。資産価値の向上や事業継続性の点でも耐震化促進は重要なCRE(企業不動産)戦略の1つと言えます。