建設資金面で、入居予定のテナントと協力。

道路沿いの店舗等を建築・建て替えする際、多く利用されるのが「建設協力金方式」です。これは土地所有者が入居予定のテナントから、建築資金の一部または全部を無利息(低利)で調達して建物を建築し、完成した後にテナントが建物を一括して借り上げることからリースバック方式とも呼ばれています。「建設協力金」は一般に毎月の賃料と相殺する形でテナントに返済されます。「建設協力金」は予約契約時(建物を建築する前)に拠出され、建物が完成した後(据え置き期間あり)から返済が開始されるため、実際には工事代金の頭金、建設期間中の運転資金、抵当権の抹消費用等として広く利用されています。
土地所有者にとっては、初期コストや金利負担を軽減し、少ない手元資金で賃貸事業を開始できる有利な資金調達法です。

想定を超えた建築費を「建設協力金」で調達。

D社が所有する賃貸ビルは、旧耐震基準の建物で、東日本大震災以降、テナントが相次いで退去して空き家になっていました。そこで当社が、立地条件などからビジネスホテル事業を提案した結果、採用され、事業全体のマネジメントも託されました。
この時、賃貸ビルをビジネスホテルに建て替えるために活用したのが「建設協力金」です。
計画期間中に資材価格や人件費の高騰が影響して想定よりも建築費が上昇し、収支計画が悪化したからです。D社及びテナントのホテルオペレーターと相談し、当初に想定した建築費は予定通り銀行から借り入れて、超過分についてはテナントから「建設協力金」を調達する方式に見直すことで、事業収支の改善を図ることができました。

信頼できるテナントとの連携がリスクの回避に。

通常、ビジネスホテルや店舗などの「一棟貸し」物件は、中長期の契約を前提とするため、テナントの選定が特に重要です。D社のように、信頼できるテナントと連携することがリスクの回避につながりますから、賃料条件、信用力や将来性、契約内容などを多角的に検討することが大切です。